もう一度君と　～記憶喪失からはじまる2度目の恋～
再会
「水瀬さん」
「はい」
背後から呼ばれて私は振り向いた。
私は体調の落ち着いている日は近くの図書館で仕事をしている。
返却された本を棚にもどしたり、お勧めの書籍を紹介するポスター作りをしたりする。
古くなった本の修復や、新しく入る本にラベルを貼ったり、素人でもできるような仕事をさせてもらっていた。

この仕事は恭が紹介してくれた市場の仕事をしているときに、一緒に働いていたおばあちゃんが、お孫さんの職場だからと紹介してくれた。
私の体調に合わせて出勤する日も時間も調節していい。
いつ行っても仕事は山積みでも、のんびりとした雰囲気で働くことができた。

「今度の週末なんだけど」
「はい」
「町おこしのイベントで、この図書館でイベントをやることになってるでしょ？」
「はい」
半年近く前から過疎化も進んでいる私の住む町では町おこしイベントで、様々な観光客を呼ぶイベントを企画していた。
この図書館でもイベントを開催する予定で、私はそのイベントのポスターを掲示する手伝いもした。
< 21 / 432 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop