もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔だった私。
恭はベッドに座り、私の顔をティッシュで拭きながら話を聞いてくれた。

「その声は本当の記憶だって、どうしてわかる?」
私を罵倒する声について言うと恭は私の手を握ってくれた。

握られたままの手を見つめて言う。

「思いだすときの・・・濃さ・・・?みたいなのがあって。」
「あぁ。」
「夢とか想像って思いだすたびに変わったり、曖昧だったりするでしょ?」
「あぁ。」
「でも、この声は違う。いつも濃くて大きくて強くて、同じで・・・」
「・・・」
「だからほかの記憶とは違う…んだと思う。」
「そっか」
「恭」
「ん?」
「私、お母さんが亡くなった部屋に行ってみたいの。」
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