もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「一緒に買いに行ったんだ。」
「そうなんだ」
「あぁ」
「・・・嶺」
「ん?」
「もっと話してほしいの」
「え?」
「私に、過去のことをもっと教えてほしい」
まっすぐに嶺を見つめる。
「でも・・・」
「大丈夫。私、大丈夫だよ?」
「・・・鈴」
きっと嶺は私に過去を思い出してほしいはずだ。
そして嶺の元から去った理由を知りたいはずだ。真実を・・・。

再会した時、すぐにでもこのマンションに私を連れて帰ることだってできた。
でもしなかったのは、記憶を失っている私に遠慮をしたからだとわかっている。
それだけ、私のことを考えてくれているということも。
なのに、嶺に私から歩み寄ることができなかったのは・・・私自身が一番恐れていたからだ。
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