もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「ん?」
私の視線に気づいた恭が私を見て首を傾げた。

いつもなら恭が来たことを確認するだけで、私は海の方へ視線を戻す。

「・・・」
「なんだ?」
私が言葉を飲み込んでいることに気づいた恭が私の方へさらに近づいた。

「どうした?」
私の前にしゃがんで、私が話そうとした言葉を完全にしまい込むのを、引き出そうとする恭。

やっぱり言えないと私が首を横に振ると、恭は少し考えたような表情をしてから私の座っている流木に座った。

ちらりと恭を見ても、恭は私の横に座ったまま海を見ている。
夕日が水平線の向こうへ沈んでからも、今日は立ち上がらない。



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