もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
私のせいで、恭にここまで来てもらうことになってしまった。
でも、それまでの私は、嶺についてここまできた私は、嶺と、私自身の過去とちゃんと向き合うために覚悟を決めてきていたはずだ。
もう一度ちゃんと、過去と向き合おうとしている私にとって、恭は大きな支えになる。

それでも・・・
恭がいたら、私はまた恭に甘えてしまう。


「俺はあの場所から動かない」
「・・・うん」
「修理しないとあの家壊れるからな」
「・・・うん」
「鈴」
「ん?」
「でも、俺は何年もは待たない。」
「うん」

何年も私を待っていた嶺のように恭をしたくない。
そんな想いさえ恭にはわかってしまう。
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