もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「じゃあな」
私はマンションの玄関で恭を見送っていた。
嶺は私たちに遠慮をして、仕事の部屋に行ってしまった。

「頑張りすぎないこと」
「うん」
「なんかあったら連絡すること」
「うん」
「いつだってくるから」
「うん」
「なぁ、鈴」
「ん?」
「忘れんなよ」
・・・恭の言葉にすぐ何のことだかわかる。

「鈴は鈴だ。」
「うん」
「聞こえる言葉だけじゃない。」
「うん」
きっと聞こえてくる母親からの言葉のことを言っている恭。
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