もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「鈴のお婆さんは医療介護病院に入院してる。お婆さんは脳梗塞を患って、全身まひが強く残ってる。呼吸器が離せない状況なんだ。」
「・・・そう・・・」
「それで・・・いつか鈴が分かった時に、俺、怒られるかもしれないから、前もって言っておく。」
「ん?」
「もう、お爺さんお婆さんの家はないんだ。」
「・・・・そう・・・」
「高齢のお爺さんお婆さんが管理していくのには難しさがあった。それに・・・」
「それに?」
嶺が話にくそうに言葉に詰まった。
「大丈夫。なに?」
今は動揺よりも、知りたい気持ちの方が大きい。
「鈴のお父さんが最終的には・・・相続人になっていたから、手放すと言って聞いてくれなかったんだ。本当は俺がその場所ごと買い取ろうと思ったんだけど、お父さんが今は全面的に家を壊して新しい家を建ててる。」
「・・・そう」
私の父にはすでに新しい家族がいることを前に聞いている。
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