もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「ごめんな。守れなくて。鈴にとっては思い出の場所なのに。」
「うんん。そんな風に私を考えて、守ろうとしてくれてうれしい。」
「鈴」
「きっと私の記憶があったとしても、同じように感謝すると思う。」
「・・・あぁ。」
嶺は申し訳なさそうに少しうつむいてから再び話を始めた。

「それから・・」
「ん?」
「鈴のお父さんには鈴と会うこと・・・」
「いやだって言われたのね。」
「あぁ。事情も説明したんだ。ごめん、勝手に。」
嶺に首を横に振る。

「どうしても新しい家族との今を壊してくないって・・・ごめん。説得できなかった。」
これも、嶺が謝ることじゃない。
これが現実だ。

「嶺。私なんかのために、いろいろありがとう。」
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