もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「行ってみたい・・・いい・・・?」
「もちろん」
私の返事に嶺は首を大きく縦に振り、私の手を握り返してくれた。


その日の夜。
私は緊張して眠れなかった。
嶺は最近、前のように症状がなくても薬を出してくれるようになった。
それは恭からの嶺への助言があったのだと嶺が教えてくれた。

症状が出ることで体調のコントロールができなくなるため、症状が出ないように予防策として薬を飲むことが、今の私には有効な服薬方法らしい。

おかげで夜は眠れることが続いる。
それでも眠れないときは、ベランダに出ることがある。
月を見ながら・・・・これから自分が向き合うことになる現実を想像し・・・大きく深呼吸をしながら自分に大丈夫と言い聞かせた。
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