もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「鈴のお母さんは、最初に俺に連絡をしてきたんだ。」
「え?」
「何年も連絡がつかない状況だったって鈴から聞いたことがある。鈴のお父さんが再婚をするときに鈴をお母さんに預ける話があったらしいんだけど、その時にも連絡はつかなかったらしい。」
「・・・」
「でも、鈴が俺と一緒に出席したパーティがあってさ。俺が商品の宣伝用に作曲した曲が賞をとって、そのパーティにマスコミも来てたんだ。」
嶺の仕事をする部屋にはいくつもの賞状やトロフィが飾られていることを思いだした。
「鈴の姿を見たお母さんが俺の会社に連絡をしてきたんだ。そこから最初にコンタクトをとったのは俺だった。」
「・・・」
「これは完全に俺の言い訳なんだけど、鈴の生い立ちを聞いてたからこそ、心配だったんだ。お母さんがどうして連絡を取ってきたのか、鈴よりも先に知りたかった。」
「嶺は私を守ろうとしてくれてたんでしょ?」
「・・・怖かったのかもしれない。」
「怖かった?」
「・・・お母さんに鈴をとられるんじゃないかって。」
自嘲気味に笑う嶺。それでも、私を守ろうとしてやってくれていたことだと今の私にはわかる。
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