もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
思い切り目が合う私たち。
「・・・おはよう」
「おっおはよう」
見事に気まずいトーンで返事を返してしまった私。
「ごめん。ベランダで鈴が寝ちゃって、ここまで運んだんだけど。」
嶺もさっと私から手をはなす。
「運んだはいいものの・・・心配で離れられなくてさ。」
「・・・ありがとう」
「気づいたら俺も寝てた。ごめん。図々しく・・・。」
気まずそうな嶺に私は首をぶんぶんと横に振った。
「運んでくれてありがとう。」
「・・・いや・・・どういたしまして」
嶺は照れ臭そうに耳まで赤くなりながらベッドから立ち上がった。
「腹減ったな。ごはん食べて出発しようか。」
「うん」

何となくぎこちないまま私たちは朝食を食べて、嶺の運転する車に乗り込み、私の生まれ育った町へと向かった。
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