もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
ブランコに座り少し漕いで見る。

その場所から嶺が飲み物を手にして私の方へ向かってくるのが見えた。
私の姿に笑っている。

いい年してブランコになんてのっていると笑っているのだろうか。

「すず!」
男の人の声が聞こえて、私は慌てて嶺から視線を移した。

私がこぐブランコのすぐそばに小さなよちよち歩きの女の子が近づいていて私は慌てて足でブランコを止めた。

「すず!あぶないだろう!」
再び聞こえたその声の方を私は見る。

そこには小さな女の子のお父さんと思われる人が向かってきていた。

急にブランコの方へ向かった娘を心配しているその人と目が合う。
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