もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「パパー。写真撮って。」
すずと呼ばれるその女の子は母親に抱かれてブランコに乗っている。
女性がパパと声をかける先にいたのは、まだ凍り付いたようにその場に立ち止まっていた男性だった。

私は小さくその男性にも頭を下げ、嶺の方に戻ろうと歩き出した。

視線を嶺に戻すと、嶺の表情も固まっている。
手にした飲み物を握りしめるように持っている嶺。
「どうしたの?」

私の声にも、嶺の視線は別の方へ向いていた。

その視線の向こうにいるのは・・・
パパと呼ばれるその男性だった。

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