もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「だろ?俺もそう思ってた。」
私たちは他愛もない会話を楽しみながらケーキ店に向かった。
駐車場に車を停めて、車を降りるとすぐに運転席から嶺が降りて私の方へ来てくれた。
「行こうか。大丈夫?」
「うん。」
旅館でしばらく横になっていた私がしっかりと歩けるか心配をしてくれているらしい。
「ありがとう」
「いいえ。」
嶺にお礼を伝えてからケーキ店の入口へ向かい歩き始めようとすると

「鈴」
後ろから名前を呼ばれて、私は振り返った。
一緒に嶺も振り返る。

その声に私は聞き覚えがあった。

振り返った先に立っていたのは・・・
公園で会った男の人。すずちゃんのお父さん・・・

つまり・・・私の父親だった・・・
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