もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「コーヒーでいいですか?」
嶺が気を使って話しかけると、目の前に座る私の父親という人は「紅茶で」と答えた。

ピクリと嶺の手に力が入る。
私はコーヒーよりも紅茶派だ。

記憶がなくても、やっぱり親子なのだと実感する。
それだけでなぜか泣きそうだ・・・。


「紅茶3つください。」


嶺が紅茶を注文すると、しばらく私たちの間には沈黙が流れた。

その沈黙を破り話始めたのは・・・私の父だった。

運ばれてきた紅茶が少し冷めたころ、ひとくち口に含み話始める。
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