もう一度君と　～記憶喪失からはじまる2度目の恋～
「神永さんから事情は聴いた。」
私がちらりと私に寄り添うように隣に座っている嶺を見ると、嶺は私の方を見て話してくれた。
「さっき、連絡をしたときに鈴の記憶がないことを話したんだ。」
「・・・そう・・・」
緊張してうまく言葉が話せない私。
「大丈夫？」
心配そうに顔を覗き込む嶺に、ぎこちなく微笑み返す。

「すまない」
目の前に座る父からの言葉に私たちは視線を向けた。

「後悔してる・・・」
「・・・」
「再婚して、今2才の女の子がいるんだ。鈴からしたら妹だ。」
父なりに記憶がない私にわかるように気を使って話してくれているのが分かる。
「すずはひらがななんだ。名前が。鈴の名前はすずとも読むだろ？」
きっと違うと言い聞かせた予感が当たっていたことに私は驚く。

「あの子が生まれて手に抱いたとき、思いだしたんだ・・・鈴が生まれた時の感情を。」
簡単に涙があふれ出す。
記憶なんてないのに・・・。心が震えて・・・涙が止まらなくなる。
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