もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「鈴」
「ん?」
「ごめんはあんまり言ったらだめだ。」
「・・・」
嶺の言葉の意味を考える。

私は嶺に対して罪悪感が大きすぎて、うんん、嶺だけじゃない。
誰に対しても申し訳ない気持ちが先だって、謝ってばかりだ。
「ごめんねは後ろ向きの言葉だろ」
「・・・」
「ちゃんと前に進むって、逃げないって決めたんだから、後ろ向きの言葉はあまり言ったらだめだ。」
「・・・うん」
「前を向くための言葉は”ありがとう”だ。」
「・・・嶺」
その言葉には嶺の優しさがあふれている。

「・・・ありがとう」
少し泣き声になる私に微笑みながら、嶺はもう一度私の方を見ると、「どういたしまして」と返してくれた。
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