もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
いろいろな想いがあふれ出して、涙になり流れ出す。

着信音の鳴りやんだ携帯電話を胸に抱きしめる。

ちゃんと逃げずに立ち向かうのは、私自身を知るためでもあった。
自分の中に閉ざされている過去の記憶に生きている水瀬鈴という存在をちゃんと認めるためでもあった。

でもそれだけじゃない。

私を支えてくれる恭や嶺という存在に、何ができるか。
どう向き合えばいいかを見つけたかった。

でも、記憶を取り戻せないまま、二人の想いをもらってばかりの私。

2人にとって、私の存在はマイナスでしかないのに、無条件に守り支えてくれる二人。


私は、私という存在を認めるどころか、否定することしか今はできなかった。
こんな私と一緒にいても、二人が幸せになれるわけがない・・・
< 296 / 432 >

この作品をシェア

pagetop