もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「鈴のお母さんが亡くなった状態で見つかって連絡を受けた時、まだ相手の男の人は生きてたんだ。」
「え?」
「俺もちゃんと話をしたわけじゃないし、会ったわけでもない。」
「どういうこと?」
「鈴のお母さんを引き取るときに、一度病院に遺体が運ばれて霊安室に安置されてたんだ。その時、たった一人高齢で杖をついた男性が訪ねて来たって話を病院の関係者の人から聞いたんだ。」
「・・・」
「鈴が見つからなかったから、俺はその人のことも含めていろいろとプロに依頼して調べてもらった。それでわかったんだ。」
その人が何か空白の半年のことを知っているかもしれないと私は思った。
「でもその人の居場所を突き止めて、俺がその場所を訪ねた時、その人は亡くなってたんだ。」
「・・・?」
「自殺だった」
急に話の続きが怖くなって私は全身が震えだした。
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