もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「お願い。もう、何かを隠すのはやめて?私のためだってわかってる。でも言ってほしいの。お願い。」

嶺が黙るのも、嶺が何かを言わずにいるのも、きっと私を守ろうとしている体と分かる。

でも、聞きたい。

「お願い」
視線をそらすことなく言う私に、嶺は困ったような表情をしてから、「わかった」と頷きゆっくりと瞬きをした。


「鈴のお母さんに事実婚状態の相手がいることを突き止めた時、もう一つ・・・わかったことがある・・・。」
今まで見たことのない自信のない嶺の表情は不安に揺れているようにも見える。

「言って」
私の言葉に背中を押されるように、嶺は口を開いた。
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