もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
真っ白な部屋の中央に置かれている真っ白なベッドの上に鈴は寝ていた。

「ごめん・・・鈴・・・ごめん・・・」
何度も何度も謝っても、鈴は目を覚ましてはくれない。
あたたかくて小さな手を握っても、握り返してはくれない。

こんな風に鈴を傷つけて壊してしまうのなら、鈴と再会しなければよかった。

俺の気持ちなんて心にしまい込んでもう二度と伝えなければよかった。

鈴を探さなければよかった。

結局俺は、鈴を愛しすぎて・・・自分自身の欲に負けたんだ。

鈴がもう一度記憶を取り戻して、俺のもとへ帰ってきてくれることを願って焦って、鈴に秘密にしていたことを打ち明けてしまったんだ。

最低だ・・。

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