もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
長谷部さんに連絡をしたとき、俺はうまく言葉を発することができなかった。

それは、自分自身が不甲斐なくて仕方なかったからだ。


長谷部さんは俺の連絡から一週間が経ってから、ここへ来た。
鈴のいる場所に来た。

お互いに頭を下げて謝ったあと、俺は一度病室からでた。
家に着替えに帰ると伝えて、鈴を長谷部さんに任せることにした。

俺が家に一度戻る前に、長谷部さんは鈴の状況を主治医から聞くと、病室から一度出て行った。

俺は鈴の隣に座り、鈴の手を握った。

「鈴・・・ごめんな」
この2週間、何度鈴に謝ったかわからない。
謝っても謝っても、鈴に届かないとわかっている。それでも謝らずにはいられない。
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