もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「優しいお母さんの言葉を聴くと、不安定になって私にお母さんがいう罵声なんて忘れられた。」

『鈴・・・ごめんね・・・こんなお母さんで、ごめんね・・・』
お母さんは私に何度も謝ってくれた。

自分の体調も落ち着かないのに、やっとやっと見つけた愛する人を失いそうで不安なお母さんの気持ちを想うと母を突き放すことができなかった。

そして、母の期待にこたえられず、苦しい思いをさせてしまった罪悪感を、どこかで償いたいと思っていた。

「最後のチャンスだと思った。」
「・・・」
「今度こそ・・・ちゃんとお母さんを支えたいって・・・ちゃんとしたいって・・・思ったの。」


母を幸せにしたかった。

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