もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「お母さんの本当の計画を知って、私と母は口論になった・・・。それで・・・私・・・流産したの・・・」
私がマスコミに取り上げられて、また注目されて、収入を得ようとしていた母は、私が母のセッティングした場面から勝手に逃げたことにかなり怒っていた。
そんな母に、私はできる限り助けになってあげたいこと、でも、嶺との子を妊娠していて長くは助けられないことを伝えた。

「また役にたてないのかって・・・また私を不幸にするのかって・・・あんたなんて産まなければよかったって・・・」
ずっと記憶が戻らなかったときにも頭の中で聞こえていた声。

その声は私が母と口論した時の声だった。

母との口論のあと、母が暮らしていた古いマンスリーマンションの部屋を飛び出した私は、母に後ろから押されて、階段を落ちた。

「帰れなかった・・・私がばかすぎて・・・情けなくて・・・嶺に合わせる顔がなかった・・。ごめんね・・・ごめんなさい・・・嶺・・・ごめんなさい・・」
謝る私の背中を優しくなでる嶺。
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