もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「鈴の心まで、戻ってくるのを待ってた。」
「・・・うん」
嶺の瞳が少し潤む。

私の視界も涙で揺れる。


「でも」
「・・・うん」
「もう待たない」
「・・・」

幾筋もの涙が頬を伝う。

「もう、鈴のこと、待たない」
「・・・」

「鈴、俺、もう鈴を待つの辞める。」

それは嶺から私への別れの言葉だった。
なのに、私には嶺からの深い深い愛の告白にしか聞こえない。
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