もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
その大きな背中に両手をまわして抱きしめながら、自分が幸せを感じられる唯一無二の場所だと思う。


ここへ来ることだけを考えて過ごしていた期間。

私はもう薬を飲まなくても眠れるようになった。
不安に息苦しくなることもなくなった。

眠れない日も、苦しくなりそうな日も、私は目を閉じて恭を思い浮かべていた。

一緒に暮らしたこの家を。
一緒に眺めた海辺から見える景色を。

恭の背中を。
恭のぬくもりを。
恭の声を。言葉を。
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