もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
恭とこうして体を重ねるようになる前、恭は私に美香さんの話をしてくれた。
いつものように海辺の大きな木に座っている私のもとに仕事を終えた恭が迎えに来てくれた時だった。
「今になると、美香は俺をどう思っていたか、よくわからないんだよ」
と言っていた恭。
同じ施設で育ったという美香さんとは昔から同年代の入所者がいなくて、施設の中でも自然と二人でペアを組むことが多かったらしい。
「俺は父親は誰だかわからない。母親は18歳で俺を産んだらしいんだ。自分の家族に内緒で。」
「内緒で?」
「そう。だから、俺が生まれて、俺の母親の家族はすぐに俺を施設に預けたらしい。あとで知った話。母親の家はかなり厳格な家らしくてさ。俺の祖父は警察庁の重役だったらしい。」
「・・・」
「だからこそ、18歳の娘が未婚で子供をうむなんてありえない話だったんだろうな。」
「恭・・・」
海を見つめる恭の瞳が遠くを見ている。私はそっと恭の手を握った。
いつものように海辺の大きな木に座っている私のもとに仕事を終えた恭が迎えに来てくれた時だった。
「今になると、美香は俺をどう思っていたか、よくわからないんだよ」
と言っていた恭。
同じ施設で育ったという美香さんとは昔から同年代の入所者がいなくて、施設の中でも自然と二人でペアを組むことが多かったらしい。
「俺は父親は誰だかわからない。母親は18歳で俺を産んだらしいんだ。自分の家族に内緒で。」
「内緒で?」
「そう。だから、俺が生まれて、俺の母親の家族はすぐに俺を施設に預けたらしい。あとで知った話。母親の家はかなり厳格な家らしくてさ。俺の祖父は警察庁の重役だったらしい。」
「・・・」
「だからこそ、18歳の娘が未婚で子供をうむなんてありえない話だったんだろうな。」
「恭・・・」
海を見つめる恭の瞳が遠くを見ている。私はそっと恭の手を握った。