もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「でも、美香は俺をどう思っていたかはわからない。」
「・・・」
「俺は美香の孤独を埋められなかった。」
「恭・・・」
心配する私の方をちらりと見た恭は優しく微笑んだ。

「愛情がよく分からなかった俺でも、鈴と出会って、あーこれが好きな人を愛する気持ちなのか・・・家族じゃなくて・・・友達でもなくて、愛するってことかってわかったんだ。」
まっすぐに私を見つめる恭。

「そばにいるだけが愛じゃない。離れることも愛なんだって教えてくれた。」
「・・・」
「鈴が笑って、幸せでいてくれたらそれだけでいいんだって思えたんだ。たとえ、その隣にいるのが俺じゃなくても。」
「・・・」
恭が私から離れた時のことを思いだす。
私がちゃんと逃げずに自分自身と向き合えるように、そして、自分の気持ちを見つけるために、恭は私から離れた。
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