もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「なーんて言って寂しかったけどな。でも、ここに来れば、鈴を思い出せた。鈴を想うとさなんか・・・言葉にできないや。とにかく好きってこういうことだってわかるんだ。」
照れるように恭は私から瞳をそらす。

「鈴と出会って、愛する気持ちを知ったからこそ、美香と俺の気持ちのつながりはやっぱり家族の愛みたいなもんだったんじゃないかって思う。」
恭は再び遠くに視線を移した。

「だって、そばにいるだけで、隣にいるだけでこんなに満たされるんだ。」
私も同じ気持ちだ。

こうして一緒にいるだけで、どんなことにも立ち向かえるような気がしている。

「そばにいても、不安で、不安定で、満たしてやれなかった。そんな関係は・・・やっぱり・・・違ったんだよ・・・」
恭は美香さんを想っているのだとわかる。

守り切れなかった命を後悔している気持ちはこれからもずっと恭の中にある。
私はそんな恭の想いと共に生きていこうと思った。
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