もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「あっ。〇〇製薬の新しいCMの曲、あれ嶺の曲?」
「そうそう。さすが。よくわかったな」
「わかるよー」
同じように私も今でも嶺が作った曲は名前が載っていなくてもすぐにわかった。

「相変わらず、きれいな曲作るね」
「まぁな。」
「ほとんど露出ないのに、売れっ子だもんね」
「何言ってんだよ。お前こそどんどん名前が売れてんじゃん」
「おかげさまで」

はじめはぎこちなかった会話も今ではぎこちなくなることなく、同業者としても気兼ねなく話ができていた。

『ガタッ』
「えっ!?」
「おっ?」
その時、私たちの乗っているエレベーターが急に停止した。
大きく揺れたことで私はバランスを崩してしまい、嶺がすかさず私を支えてくれた。
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