もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「・・・ありがとう」
「どういたしまして」
私は嶺が床に敷いてくれたジャケットの上に座らせてもらった。

「あー今日の仕事これでキャンセルにならないかな」
嶺の言葉に嶺の方を見る。
嶺は胡坐をかきながら、壁に寄りかかり首を左右に揺らし、ストレッチするようにしている。

「どうかな」
「早く帰りたいんだよなー」
「どうして?」
私の言葉に嶺が待っていましたとばかりに、きらきらとした目で私の方を見て来た。

「見てくれるか?」
そう言って生き生きとしながら携帯電話を出す嶺。
その画面を私に向ける。

「なにこれ」
「カワウソ」
「え?」
かわいらしいカワウソのロック画面。
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