もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
それから私たちは業者が来るまでの時間、一緒にそうちゃんの曲を作った。

鼻歌でも、お互いに音感がある私たちは簡単に楽譜にすることができる。

私の持っていた仕事道具の中に五線譜がちょうどあり、私は嶺と一緒に作った曲を譜面に落としていった。

私も嶺も、体の中に流れるメロディまで似ている。

一緒に曲を作りながら、こうして一緒に曲を作った過去を思い出した。

言葉よりも私たちは音楽に乗せたほうが気持ちが通い合うことを思いだしながら、一緒に作る曲の中に私の想いも込める。

一緒に生きていく道は選ばなくても、嶺を大切に思う気持ちは変わらない。
幸せを願う気持ちも、心配する気持ちも変わらない。

同じように、嶺の想いも曲に乗せて私に伝わった。
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