もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「今度の週末にリハーサルがあるんだけど」
恭が作った夕飯を食べながら鈴が話を切り出した。
食事のときはお互いに一日のことを報告し合ったり、生まれてくる子供のことでいつも話が盛り上がった。

「俺も一緒に行けることになった。」
「よかった。心強い。」
「でも無理はするなよ?」
「うん。気を付ける。」
「これも食べろ」
そう言って恭が鈴の皿におかずをのせる。

鈴が好きなものばかりが並ぶ食卓。
なんでもいいからとにかく食べて栄養を摂るようにと医師から言われている鈴。
つわりで元から痩せている鈴はさらに痩せてしまい、そこから体重を増やすことに苦労していた。
病院に行くたびに栄養指導を受けるものの、結局食べられるときに食べられるものを食べるようにと指導されて帰宅していた。

恭は常に冷蔵庫に鈴の好きなものをいれておき、仕事の合間に集中しすぎて食べることを忘れないように、鈴に連絡を入れることも多かった。
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