もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「もう、限界。食べられない。」
「ダメ。あと一口。」
「・・・・」
食事することは鈴にとっては大切な治療になる。
恭は必ず鈴の食事の内容や量を確認していた。

食事にこそまだ気を付けている恭だが、妊娠により体調を崩していても鈴の心の状態はかなり安定していた。

元から妊娠は鈴の体調が安定してからと決めていた二人。
思ったよりも早く鈴の状況は安定した。

食事のあと、一緒にお風呂に入りながら恭は鈴のお腹に触れていた。
「寝てるか?」
「寝てるかな?さっきまでひゃっくりしてたんだけど」
「そっか」
恭のまなざしが前にもまして穏やかで優しくなっていくのを鈴は頼もしく感じていた。
「楽しみだな」
「うん。楽しみだね。」
< 413 / 432 >

この作品をシェア

pagetop