もう一度君と ～記憶喪失からはじまる2度目の恋～

「不思議だよね」
「なー」
「私たちがもうすぐお父さんとお母さんになるんだよ？」
「あぁ」

鈴はそう言って少し黙った。

恭は生まれて間もなく施設に預けられた。
鈴も父とは今でこそ和解したが、幼いころの両親との思い出には複雑なものが多い。

「大丈夫」
恭は鈴が何も言わなくても不安に思っていることを感じ取っていた。
「何がよくて、何が悪いかはわかんないけどさ」
「うん」
「でも一生懸命愛そう。」
「うん」
「ありったけの愛情を注げばこの子にもきっと伝わる」
「うん」
「だって俺たちの子供だからな」
「うん」