もう一度君と ～記憶喪失からはじまる2度目の恋～

番外編～嶺の恋～

「新しく神永さんの担当になりました。石崎若菜と申します。よろしくお願いします！」
スーツが似合わないまだ幼さが残るその女性に、嶺は少し体を後ろに引きながら愛想笑いで挨拶を返した。
「よろしくお願いします。」

所属している事務所から派遣されてきた新しいマネージャー。前任のマネージャーは人事異動があったらしく、代わってしまった。気心知れてきて、あまりメディアに露出したくない嶺をよく理解してくれるマネージャーだっただけに、嶺は内心がっかりしていた。

しかも新しく担当になったのが大学を出たばかりのド素人・・・。
いろいろとサポートで事務所のスタッフが関わってくれるらしいが、不安だ。
仕事がやりにくくなることだけはいやだ。

「前任の高原さんからいろいろと引継ぎを受けていますが、至らない点があったら申し訳ありません。でも、なんでも言ってください」
「ありがとうございます」
嶺のマンションの玄関。今日は挨拶だけと聞いている嶺は早く仕事に戻ろうと思っている。

「あのー。」
「はい？」
若菜が嶺の顔を覗き込む。