もう一度君と ～記憶喪失からはじまる2度目の恋～

「カワウソ飼ってるって聞いたんです。」
「あぁ飼ってますよ？」
「私も飼ってるんです！」
「え？そうなんですか？」
「はい！子供のころから夢だったんです。それでペット可の物件を探して、飼い始めたんです！」
生き生きと話をする若菜。嶺も初めて出会う同じペットを飼っている仲間に、急に心許してしまう自分がいた。

おすすめのペットフードからおもちゃ。カワウソを飼っているからこその”あるある”を共有し合い、短時間の挨拶程度のつもりが気付けば一時間近く時間がたっていた。

「見ます？」
部屋に上がることを言うと、なんだかマネージャーしかも年下の女性に対してセクハラではないかと気を使った嶺の言葉に、若菜は無邪気に笑いながら「いいんですか？」と喜んだ。

結局嶺の飼っているカワウソのソウちゃんと若菜は仲良く戯れ、そこに嶺も我が子自慢がはじまり、アッという間にあたりが暗くなってしまった。