もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「今度うちの子も紹介しますね」
若菜がそう言って、ソウちゃんにお別れをしている時、嶺は若菜にお茶のいっぱいも出していないことに気が付いた。
挨拶に来てくれたのに、家の中にまで招いてかなり時間を割いてしまった。

「挨拶だけだったのに、仕事大丈夫だった?」
いつの間にか敬語を使わずに話すようになった嶺が若菜に聞くと「実は今日休みなんです。ご挨拶に早く伺いたかったんで来てしまいました。すみません、長々と」小さく頭を下げる若菜。
「休みならなおさら申し訳ないな。」
「いいえ、私が勝手にしていることですから。」
「ちょっと待ってて」
嶺はさすがに仕事が休みの若菜を長時間拘束してしまったことに罪悪感を感じてキッチンへ向かった。

「よかったら、これ。紅茶なんだけど、飲める?」
「大好きです。ストレートもミルクもレモンも、紅茶大好きです!」
元気な返事に嶺は思わず笑いながら、ストックしてあった紅茶を袋に入れた。
「ミルクティにして飲むのもおいしいから」
「私、ミルクティが一番好きなんです。やってみます。・・・あっでもいいんですか?」
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