もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
体を動かせない私。
その腕がグイっと後ろからひかれて私の体は簡単に後ろを向いた。

そこに立っていたのは恭くらいの背丈の男性。

私の方を見下ろして、ものすごく切ない表情をしている。

信じられないというような顔で私を見つめたその人は私の頬に手を触れて、じっと私の顔を見る。
「鈴・・・」

私の名前を呼ぶその人の瞳が揺れている・・・。

私は自分の胸に手をあてた。

まただ・・・

自分の物じゃないように、自分の心臓じゃないように鼓動が早くなる。

「鈴・・・」
その人は私の体を抱きしめる。
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