もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「・・私のこと考えて了承しようとしていますか?」
若菜と仕事をしていて感じるのは、若菜は年齢の割にかなり察しがいい。

実際に連絡ではなく顔を合わせて話をしたいというだけあり、相手の表情や動作から状況を読むのが若菜は察しがよかった。

「違う。出てみようと思っただけだ。」
どうして仕事のマネージャー相手にこんなに気を使ってんだよと自分に突っ込みを入れながら嶺は気まずくなりキッチンへ向かった。

いつも若菜が来るときにはミルクティをいれるようになった嶺。
自分も飲みたいからと言って淹れるミルクティ。
若菜はお礼にといろいろなお茶菓子をもって家に来るようになった。

「嘘です。私が会社で叱られるからとか考えて、了承しようとしてくださっているんですよね」
若菜はそう言って嶺に近づく。

「違うよ。俺も大人だ。仕事の内容によって自分にメリットがあるかデメリットかは判断できる。」
ごまかしながら手を止めない嶺に若菜は少し沈黙してからマンションの部屋を出て行った。
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