もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
恭の体に一瞬力がこもる。
「私は老人ホームや施設でカウンセラーをしています。長谷部恭と申します。」
私の体を支えながら恭がまるでその状態に理由をつけるように名乗る。
「水瀬鈴さんは記憶を無くされていて、私が身元を引き受けさせていただいていました。」
「・・・そうですか。」
「彼女の状態が少し不安定ですので、場所を変えさせていただいてもよろしいでしょうか。」
「・・・はい」
そう言って恭は過呼吸状態の私の体を支えて立たせると、会場の奥にあるベンチに私を座らせた。
恭は持っていた自分のハンカチを私の口に当てる。
「息を吐くことに集中して。ここに息をかけるようにして。」
私の横に座り口元にハンカチをあてながら背中をトントンといつものリズムでたたいてくれる。
それでも呼吸に集中しようとしているのに、頭に浮かんでくる知らない映像と、聞こえてくる声、そしてこれからどうなってしまうのかという不安に、呼吸に意識が集中できない。
「すみません、私の携帯で救急車を呼んでいただいていいですか?」
薄れる意識の中で恭の声が聞こえる。
「私は老人ホームや施設でカウンセラーをしています。長谷部恭と申します。」
私の体を支えながら恭がまるでその状態に理由をつけるように名乗る。
「水瀬鈴さんは記憶を無くされていて、私が身元を引き受けさせていただいていました。」
「・・・そうですか。」
「彼女の状態が少し不安定ですので、場所を変えさせていただいてもよろしいでしょうか。」
「・・・はい」
そう言って恭は過呼吸状態の私の体を支えて立たせると、会場の奥にあるベンチに私を座らせた。
恭は持っていた自分のハンカチを私の口に当てる。
「息を吐くことに集中して。ここに息をかけるようにして。」
私の横に座り口元にハンカチをあてながら背中をトントンといつものリズムでたたいてくれる。
それでも呼吸に集中しようとしているのに、頭に浮かんでくる知らない映像と、聞こえてくる声、そしてこれからどうなってしまうのかという不安に、呼吸に意識が集中できない。
「すみません、私の携帯で救急車を呼んでいただいていいですか?」
薄れる意識の中で恭の声が聞こえる。