もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「過呼吸の状況がひどくて低酸素状態になっています。意識レベルも下がっているので、病院に行ったほうがいい状況になりました。」
「・・・はい」
こういう時、恭はやっぱり医師なんだと実感する。

いつだって恭は冷静だ。

唯一冷静じゃなかったのは、私を海で助けてくれた時。

それ以外の時間はいつだって恭は冷静で、やっぱり恭は医師として私を放っておけないという責任感でここまで一緒にいてくれたのだと思ってしまう。

「鈴、落ち着け。大丈夫。」

恭の声も、今は私を不安にさせた。

「鈴」
恭とは違う声。
心配しているその声はまだ震えていた。
< 49 / 432 >

この作品をシェア

pagetop