もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「・・・会う・・」
小さくつぶやいた言葉に恭が少し体を離す。

「そばにいてくれる・・・?」
「もちろん」
私の言葉に恭は優しい笑顔を見せてくれた。

恭は私が落ち着くと私の涙をティッシュで拭ってくれた。

「どうぞ」
廊下に向かって扉を開けて声をかける恭。

そして・・・神永嶺という男が入ってきた。

イベントが終わったからか、ジーンズに黒のシャツというラフな格好に着替えている。
緊張していることが伝わるその表情に、私は抱えていた敵対心に似た気持ちが自然と消えていくのを感じた。
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