もう一度君と ～記憶喪失からはじまる2度目の恋～

「神永さんは作曲もされてるんですよね。私は疎くてわかりませんでしたが、ピアニストとしてかなり有名だと聞きました。いろいろなテレビ番組にも最近は出ていらっしゃるとか」
空気を変えようと恭が明るく話始める。

「・・・はい・・・。本当はテレビ番組や雑誌には出ていなかったんです。でもこの数年はメディアにも顔を出して活動をしていました。」
「そうなんですか？どうして出ようと思ったんですか？」
恭の質問に嶺は私の方をちらりと見た。

「探していたからです。彼女を。どうしても見つけられなくて、途方に暮れて。生きているのかさえも分からない状況で、彼女からは俺が見えるように。彼女が俺を見つけられるように・・・とか思って。」
真剣な表情から、私の表情が罪悪感にゆがむのを見て、嶺は急に話の終わりに笑顔を作った。

「彼女があなたの元から離れたのはいつなんですか？」
「2年半前です・・・。」
その言葉に私は記憶を失う少し前に嶺の元を離れていたことを知った。

空白の半年がある・・・。