もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「俺が悪いんです。」
「え?」
嶺の言葉を恭が聞きかえした。

「彼女を支え切れなかった、俺のせいなんです。」
「何かあったんですか?」
思わず私が身を乗り出して聞くと、嶺は一瞬戸惑って恭を見た。

一度動揺して救急車で運ばれている私に、話してもいいのか恭に同意を求めているように見えた私は「聞かせてください」と嶺にお願いした。

「・・・鈴は・・・あっ・・・あなたの生い立ちは記憶にないんですよね?」
「・・・はい・・・」
「あまり恵まれた家庭環境ではなかったんです」
「・・・」
2年前に発見されたときのことを思いだす。

栄養失調と脱水でひどい状態だったことを・・・。
私が生きていた環境があまりいい環境ではなかったということに、妙に腑に落ちてしまう自分がいた。
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