もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「今日はどこかのホテルに宿泊される予定だとおっしゃっていましたよね」
「はい」
「よろしければうちに泊まりませんか?」
「え?」
「ずっと探していた彼女を見つけてまだ話したいこともあるでしょうし。でも、今はあまり無理はさせられない。お仕事の都合がよろしければですが」
恭は私の状況を見て、一気に話しをすることは難しいと判断したのだと思った。

それでも私も過去を知りたいと思っている。
嶺に話を聞いて、怖いけれど、知りたいという気持ちが膨らんでいるのは事実だ。

ただ、その覚悟ができていないだけ。

「仕事はいくらでも都合がつきます。でも、ご迷惑じゃないですか?」
「大丈夫です。あまりおもてなしはできませんが。」

恭の提案で嶺は一度ホテルに荷物を取りに向かい、その後、恭の家に来ることになった。
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