もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
自分でもそんなのずるいと思っている。
恭にいまこうして聞くのはルール違反だ。

優しい恭に・・・こんなことを聞いたらいけない。

「鈴」
私がさっきの質問はなかったことにしてと言おうとするより先に恭に名前を呼ばれてしまった。

「ゆっくりでいい。生きてれば時間なんていくらでもある。」
その言葉に私は目を閉じた。

「頭、痛むのか?」
すぐに恭の心配そうな声が聞こえてくる。

「少し」
本当は全然我慢できる状態。
でも今は恭の優しさにすがりたかった。

もしかしたら・・・最後かもしれないと予感しているからこそ・・・恭にすがりたい・・・
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