もう一度君と　～記憶喪失からはじまる2度目の恋～
「どのくらい一緒に暮らしていたんですか？」
「俺が大学を卒業してすぐに一緒に暮らし始めました。彼女が行方を消す2年後まで一緒に暮らしていたんです。」
「行方が分からなくなったのは突然だったんですか？今日、自分の責任だって・・・」
恭の質問に嶺は少し黙った。
そして覚悟を決めたかのように、大きく息を吸い込んで話始めた。

「彼女の母親が現れたんです。」
「母親？」
「俺と彼女は本当に幸せに暮らしていました。婚約もして。俺の両親にも挨拶をして、彼女の父親に挨拶も行きました。その流れで、彼女の母親に連絡を取ったんです。それがすべてのはじまりでした。」
嶺の言葉にちらりと私の頭に映像が浮かぶ。

真っ暗な部屋の中、女の人の声が聞こえる・・・。

『あんたのせいで私の人生はめちゃくちゃになったのよ！あんただけ幸せになるなんて許さない！』
金切声に近い女の人の声。

この声が・・・

「うっ！」
急な吐き気に襲われて私はトイレに駆け込んだ。
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