もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「生きてくれていればそれでいいって思ってた。見つからない鈴が、もう俺の元へ戻らなくても生きて、どこかで笑ってくれてたらそれでいいって思ってた。でも・・・」
言葉に詰まる嶺。

「思いだしてほしい、あの頃に戻りたいと思うのは、俺のわがままでしかない・・・のか?もう一度、鈴と一緒に笑いたい。一緒にいたい。そう思うのは・・・間違いなのか?」
切なすぎる声に私はどう反応をしたらいいかわからない。

「すみませんでした」
絶妙なタイミングで恭が戻ってくる。
多分・・・今日は私たちの会話を聞いて、私がどう返事をしたらいいかわからず困っているタイミングで戻ってきたのだろうと思う。

「鈴、薬、飲めるか?」
嶺がさっと手をはなして、その代わりに私の背中に手を入れて恭が私の体を起こしてくれる。

私は恭に薬を飲ませてもらい、そのまま恭に寄りかかり座った。
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