もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「横になる?」
恭の言葉に、私は首を横に振る。

「聞かせてください」
「え?」
私の言葉が意外だったようで、恭も嶺も私に聞き返す。
「聞きたいんです。私。それから・・・・」
私は居心地が悪そうにしている嶺を見る。
「名前で呼んでください。そのほうが・・・思いだせるかもしれないし。」

嶺は一瞬困ったような表情をした後、にっこりと笑った。
「ありがとう」

恭に寄りかからせてもらったまま、私は嶺の話を聞いていた。

嶺との婚約の報告をするために、私は母親とコンタクトをとった。でも私の母親は定職にもつかず、生活保護を受けながら暮らしている状態で、ひどい糖尿病を患い一人暮らしをしていたらしい。
そして、私は・・・。
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